日々の生活の中で、ずっと同じ精神状態でいられる人はあまりいないはず。
次のようなことを思うことも多いでしょう。
「最近ずっと調子が悪い」
「自分の能力を活かしたい」
「もっとモチベーションを上げたい」
「辛そうな相手を元気付けたい」
こんなとき、エニアグラムの健全度レベルを理解していると、
取り組むべき行動や考えが見えてきます。
目次
エニアグラムの健全度レベル
エニアグラムの9タイプには、「健全」「通常」「不健全」という
3つの段階が存在し、各段階でさらに3つのレベルに分かれます。
「健全」のレベル1から、「不健全」のレベル9まであることになります。
この9つのレベルのどこに位置しているかによって、
性格に囚われ反応的な行動を取り続けるのか、あるいは、
自由に肯定的な資質を発揮しているのかを理解することができるのです。
例えば、「健全」なタイプ8は、愛を持って他者を導く優れた指導者となります。
反対に、「不健全」なタイプ8は、他者を威圧し攻撃的な態度を見せるようになるのです。
この健全度レベルというものは、人生の中でゆっくり変化するものと、
日常の中で頻繁に変化するものと2種類に分かれます。
それは碇と船の関係で例えることができます。
日常の中で変化する健全度レベルは、碇を下ろした船が波に揺れているようなもので、
健全度レベルが大きく変化することはありません。
一方、人生の中で変化する健全度レベルは、
どこに碇を下ろしているかが変化しているようなもので、
簡単には変化しませんが、徐々にその位置を大きく変えていくのです。
それでは、「健全」「通常」「不健全」の順に説明していきます。
「健全」の段階と『目覚めの注意信号』
健全度レベル1~3の人がこの段階になります。
個人的な資質を効果的に発揮しており、
成熟していて、能力が高いと見なされる傾向にあります。
しかし、この段階であり続けることはとても難しく、
意識的にそうあろうと努力しなくてはなりません。
その助けとなるものに、『目覚めの注意信号』という指標があります。
これは9タイプそれぞれに存在し、
「健全」から「通常」のレベルに下がっている気づきを与えてくれるものです。
タイプ1:すべて自分が解決しなければならないという責任感を感じる。
タイプ2:相手を取り込むために、積極的に関わる必要があると信じる。
タイプ3:地位や関心を得る為に、自分を駆り立てる。
タイプ4:自分の気持ちに執着し、空想の世界に入り込む。
タイプ5:概念や知的世界に現実逃避する。
タイプ6:導きを求めて何かに依存する。
タイプ7:より良いものを探し求める。
タイプ8:求めるものを手に入れようと強引になり、闘うことも恐れない。
タイプ9:表面的に人に合わせる。
この『注意信号』に気づいたとき、問題になっていることに向き合い、
やり抜くことで、再び健全度レベルを上げていくことができるのです。
「通常」の段階の『社会的役割』と『鉛の法則』
健全度レベル4~6の人がこの段階になります。
この段階にいる人は、自分が特定のあり方でなければならないと感じ、
それを他者にも受け入れて欲しいと感じるようになります。
この『社会的役割』と呼ばれる行動は、
各タイプによって次のように他者に働きかけてきます。
タイプ1:人の誤りを指摘し、自分の持つ基準を共有するよう主張する。
タイプ2:人の欲求を見つけ出し、依存関係を作り出す。
タイプ3:人を魅了するイメージを何でも取り入れる。
タイプ4:気分が変わりやすく、人に気を使わせる。
タイプ5:人から気持ちが離れ、物事に没頭する。
タイプ6:文句を言い、人がどれだけ自分に関わってくれるかを試す。
タイプ7:人の注意を逸らし、自分の要求に応えるよう主張する。
タイプ8:人を支配し、自分に従うよう要求する。
タイプ9:気持ちが離れ、暗黙の抵抗をする。
この『社会的役割』という戦略が通用しなくなると、
人は『鉛の法則』と呼ばれるさらなる特徴を表すようになります。
それは、自分の根源的恐れを相手に植え付けようとするのです。
タイプ1:
自分は邪で堕落し欠陥があると恐れるため、
他者の邪で堕落し欠陥があるところを指摘する。
タイプ2:
自分は求められず愛されていないことを恐れるため、
他者は愛や寛大さや関心を得るに値しないと感じさせる。
タイプ3:
自分に価値がなく有用でないことを恐れるため、
他者を横柄に扱ったり軽蔑することで、無価値だと思わせる。
タイプ4:
自分にアイデンティティがないことを恐れるため、
他者が取るに足らず、存在意義がないかのように扱う。
タイプ5:
自分が無力で無能であることを恐れるため、
他者が愚かで役立たずであると感じさせる。
タイプ6:
自分が支えや導きを持たないことを恐れるため、
他者を支えるシステムを揺るがせ、孤立させようとする。
タイプ7:
何らかの欠乏に陥ることを恐れるため、
様々な方法で欠乏感を味わわせる。
タイプ8:
人に傷つけられコントロールされることを恐れるため、
他者を威嚇し、コントロールされると感じさせる。
タイプ9:
人とのつながりの喪失に苦しむことを恐れるため、
「関心を示さなくなる」ことで、自分とのつながりを失ったと感じさせる。
「不健全」の段階と『警告信号となる恐れ』
健全度レベル7~9の人がこの段階になります。
この段階は、一時的に陥ることはあっても、
「碇を下ろす」ことはめったにありません。
「碇を下ろす」場合は、人生における重大な危機が訪れ、
深い自己放棄によって性格が破滅することでもたらされるのです。
この段階に落ちる前に、『警告信号となる恐れ』が表れます。
この信号に気づき、行動を改めることができなければ、
急速に破滅的な状況へと陥っていくことでしょう。
タイプ1:自分の理想が実際は間違っていて、逆効果である。
タイプ2:自分が、友人や愛する人を追い払っている。
タイプ3:自分の主張が空虚で詐欺的である。
タイプ4:自分の人生をダメにし、せっかくのチャンスをムダにしている。
タイプ5:自分が他者との関係で居場所を見つけることはないと思い込んでいる。
タイプ6:自分自身の言動が、安全を損ねている。
タイプ7:自分の活動が、痛みと不幸をもたらしている。
タイプ8:他者が自分にそむき、報復するだろうと思い込んでいる。
タイプ9:現実に迫られ、自分の問題に取り組まざるを得ない。
まとめ
自分あるいは他者が、健全度レベルのどの位置にいるのか、
『目覚めの注意信号』や『警告信号となる恐れ』によって、
判断することが可能となります。
そして、過去への怒りや後悔、未来への不安ではなく、「今、ここ」を見つめ、
感じることに集中することで、レベル1に向かって成長することが可能になるのです。
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